「東京ビジネスデザインアワード」の提案最終審査が2月8日におこなわれ、2023年度の最優秀賞1件と優秀賞2件が発表された。

東京ビジネスデザインアワードは、東京都内の中小企業を対象に事業支援・新規市場開拓を目的として毎年実施されるコンペティション。企業が有する製造加工技術や素材ノウハウなどを「テーマ」として募集し、それらを活用した新たなビジネスプランや新規用途開発のアイデアなどをデザイナーから募り、双方のマッチングにより事業推進を図る。

今年度は11のテーマと提案がマッチングし「テーマ賞」を受賞。2月8日の最終審査ではテーマ賞受賞デザイナーがプレゼンテーションに臨んだ。

「最優秀賞」に輝いたのは、株式会社富士産業・榎本清孝（アートディレクター／プランナー／株式会社トムテ）・村上麻衣子（デザイナー／株式会社トムテ）による「時を自在にデザインする真鍮ブランドの提案」だ。

最優秀賞「時を自在にデザインする真鍮ブランドの提案」。企業テーマは、職人技で古美色を再現する「硫化燻し加工技術」。これに対し、「企業の高い技術力とデザインの力で、真鍮に新たな価値を与え事業拡大していくブランドプロジェクトの提案」がおこなわれた

デザイナーを代表して登壇した榎本清孝は「自分自身はグラフィックデザインの人間だが、今回のプロダクトをグラフィックデザイナーがどう活かし、利益につなげていくかが今後試されると思っているので、頑張っていきたい」と語った。

また、「優秀賞」を受賞したのは、有限会社オクギ製作所・千頭龍馬（デザイナー）・梅村隼多（デザイナー）による「ワイヤーカット放電加工を活かしたアクセサリーブランドの提案」と、株式会社江北ゴム製作所・土井智喜（デザイナー／soell株式会社）による「自然に優しいゴムと廃棄材を融合させたプロダクトブランドの構築」の2件。

審査委員長を務めたバイヤー／株式会社メソッド 代表取締役の山田遊は、テーマ賞を受賞した11組のプレゼンには、実現性が高く、売れるだろうと想像できるものが複数あったとし以下のようにコメントした。

「今回のプレゼンテーションにも『共創』というキーワードがあったが、これは経営者・デザイナーだけでなく顧客や審査員も含めた、ステークホルダー全員に当てはまること。サービスやプロダクト全体をともにつくる人や購入者すらも、共創する仲間であるという認識が今後必要になるのではないか―そういった購買・消費の形に社会の流れが変わっていっているように感じる。審査員一同も、共につくりあげる仲間と思っていただきたい」

実現化に向け、具体的な協働が開始される受賞プランの今後の展開に注目したい。

https://www.tokyo-design.ne.jp/award.html