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雪深いエリアに建つ園舎は、四季を感じながら多様な遊びを楽しめる工夫が施されています。その具体的な手法や特徴、コンセプトなどをうかがいました。
■背景・コンセプト
新潟県十日町市川原町にある認定こども園「愛宕幼稚園」は、園舎の老朽化により、敷地内に新園舎を建設しました。
山間に位置する十日町は、毎年の平均積雪量が2mを超える豪雪地です。厳しい自然に囲まれたこの地で親しまれているのが、雪の家「ほんやらどう」。
それは、ドーム型にした雪をくり抜いてつくる「かまくら」を指す、この地域ならではの呼び名です。小正月には子どもを主役とした、「ほんやらどう」の民俗行事がおこなわれており、地域住民が集まり交流が生まれています。
園舎のデザインは、「ほんやらどう」のコンセプトや地域に伝わる伝統的な中門造りのエッセンスをプラス。雪を利用した巨大なすべり台や大きなピロティ空間をデザインしました。
十日町のユニークな自然環境や伝統文化と共生し、「子どもたちの学びと遊びを誘発する空間づくり」を目指しました。
■特徴
屋内外には、子どもたちが四季折々を楽しめるよう、多様な遊びを実践できる場を用意しています。
園舎のまわりをぐるりと取り囲むのは、屋根付きのバルコニー。広いテラスは屋外と屋内の中間的な役割で、天候に関わらずいつでも自由に遊ぶことが可能です。広々としたピロティは外遊びもできてフレキシブルに使えます。
園内にはアトリエや屋内砂場、和室、絵本コーナー、「ほんやらどう」をイメージした隠れ家のような遊びスペースなどを設置。子どもの好奇心を引き出す空間づくりをしました。
また、十日町は豪雪地帯のため、建物におよぼす雪の影響を一番に配慮しました。例えば、バルコニーや屋根に井戸水を汲み上げ、常時流す仕組みの融雪設備を設置しています。
季節を問わず、思いっきり体を動かせる遊び場も用意。2階バルコニーから続く一面芝生の巨大なスロープでは、雪が降り積もったときはそり遊び、それ以外の時期は芝生すべりを楽しめます。
所在地 | 新潟県十日町市川原町853-6 |
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設計 | HIBINOSEKKEI+Youji no Shiro+KIDS DESIGN LABO |
施工 | 松井建設・タクト創建共同企業体 |
構造 | 横浜構造設計株式会社 |
敷地面積 | 3003.96m2 |
延床面積 | 1121.09m2 |
竣工日(開業日) | 2022年1月 |