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「&BIZ」は、オフィスライフをより充実させるために三井不動産株式会社のオフィスが提供するテナントワーカー向けの会員制サービス施設です。大手町にある「&BIZ施設 Otemachi One」では、3つのエリアを提供しています。
同施設の空間デザインを担当したのはコクヨ株式会社。「PATCHWORK」をデザインコンセプトにしたという同施設の特徴などについて、佐藤航さん(現・株式会社WATARU ARCHITECTS代表)とコクヨの浅野里紗さんにうかがいました。
■背景・コンセプト
三井物産株式会社と三井不動産株式会社の共同事業である、東京・大手町の大型複合ビル「Otemachi One」にある「&BIZ施設」では、プロジェクトのゴールを“WORKからWORK WELLNESSへ”とし、働く、食べる、整える、出会う、遊ぶなど多用途な場を展開しています。
そこでデザインコンセプトは「PATCHWORK」とし、働くを軸に多様なアクティビティをつなぎ合わせる(パッチワークする)ことで、 WORK WELLNESSを実現しようと考えました。
■手法、特徴
具体的なPATCHWORKのデザイン手法として、次の3つを用いています。1つは素材のパッチワークです。異素材の組み合わせに加え、同素材でも表現を変えて素材の持つ魅力に変化を生み出しました。2つ目は場をつなぐパッチワークで、多様な場を紡ぐ糸のような役割でフレームとラインを用いています。3つ目は全体をつなぐパッチワーク。フロア全体をそれぞれ特徴的な天井と照明とし、用途ごとに異なるデザインをひとつの空間としてユーザーに届けました。
またこの施設は、Dinning、Conference、Fitnessと大きく3つのエリアで構成されています。各エリアの機能から、ユーザーが求める要素を動詞(アクティビティ)と形容詞(デザインテイスト)に分解してつなぎ合わせ、PATCHWORKの空間としています。
〇Conference
WORK WELLNESSの実現のため自然をテーマとした多様な彩りをデザインに取り込み、パッチワークして空間をつくっています。具体的には、ブレストなどのアイデア創出の部屋は雲をイメージするなど、アクティビティとデザインテーマを紐づけました。各貸室のテーマを、雲、雨、木漏れ日、陽光、青空とし、多様なデザインが同居し、つなぎ合わさってカンファレンス空間ができています。
〇Dinning
Dinningは、飲食のほか、コワーキングやイベントとして活用されます。そのため読書、ラウンジ、ミーティング、パーティーなど多様なアクティビティをフレームによって緩やかに仕切り、つないでいます。そのフレームの中に、アート、グリーン、レコード、光など人の感性要素が組み込まれ、多様なアクティビティと共に空間の中でひとつに混ざり合っています。
また、アートは前衛作家とアールブリュットを掛け合わせ、多様性と社会課題にアプローチしました。具体的には、障碍者が制作したアートを2次加工し、アーティストの彫刻や植物の作品と組み合わせコラボレーションし、新たなテーマ性や意味を持たせることでアート作品を多義的で立体的に仕上げています。
〇Fitness
働くそばにあるフィットネスとしてアクティブに体を動かし、心身を整えリラックスする、という対照的なアクティビティを、オブジェ、光、自然素材などからデザインアプローチしました。これらの要素をPATCHWORKのフレームが縦横無尽に枝分かれし紡いでいきます。またジムエリアではフレームがラインに変化し、陸上トラックやバスケットコートなどの実寸大のラインにし、その先のスポーツへとイメージをつないでいきます。
運営 | 三井不動産ビルマネジメント、中央フードサービス |
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設計 | 佐藤航、浅野里紗、浦麻子、藤田敦/コクヨ(佐藤航、藤田敦/現・WATARU ARCHITECTS) |
実施設計 | 高矢則生、永井亮/コクヨ |
設備設計 | 鹿島建設、岩佐健市/イーテクノ |
施工 | 高橋徹/コクヨ、鹿島建設 |
グラフィック | 三尾康明、斉藤真弥子/Karappo |
照明設計 | 今津慎也、土橋政博/muse D |
アート(食堂) | motoka watanabe(彫刻)、Azu kimura(植栽)、and and+浅川浩樹(アール・ブリュット) |
アート(カンファレンス) | はやしまりこ、藤田あかね/A&M(壁画・天井画等)、浅川浩樹/and and +(アール・ブリュット) |
ディスプレイ | 窪田俊 |
音楽 | 安永哲郎/コクヨ |
撮影 | 山本慶太/ナカサ&パートナーズ |