歴代受賞アーティストがルミネを飾る、「LUMINE meets ART...

ルミネ, LUMINE meets ART AWARD, 柿崎サラ, Harumi Ori, 飯沼英樹, 尾花賢一, ハシグチリンタロウ, 池田はなえ,アート,ファッション,ライフスタイル

「あなたのアートがルミネを飾る」をテーマに、ルミネ・ニュウマン館内に展示するアート作品を募集する公募企画「LUMINE meets ART AWARD(以下、LMAA)」の10周年記念展「LUMINE meets ART AWARD アーカイブ・エキシビション」が、5月26日から6月15日まで開催されています。

才能あふれるアーティストたちが活躍する未来を目指し、2013年からスタートしたLMAA。次世代のアーティストを送り出すとともに、ショッピングにきたお客さまがルミネを通じ、新たな才能と出合うことを目的にしています。

本展は、過去の受賞者であり本アワード受賞後に国内外のアートシーンで活躍する6名のアーティストによる展示企画です。この記事では、作品紹介を中心にフォトレポートします。

ウィンドウから個性があふれ出す、6つの展示作品

今回、JDNでは会期初日に取材を実施。参加アーティストのうち、飯沼英樹さんとハシグチリンタロウさんには直接お話をうかがうことができました。

WAGMI(We’re all gonna make it)ワグミ「みんなでやったらできるさ!」-私たちは流行に敏感なんじゃない。ここからみんなで作り出す-/飯沼英樹さん

LMAA2015にてグランプリを受賞した飯沼英樹さんは、女性像の木彫作品を中心に手がけています。本作は、ワイルドでファッショナブルな新宿の女性の一瞬を彫り出した「スナップショット-スカルプチャー」。前作よりさらに華やかで、角や耳がついた女性像を制作した理由をうかがうと、昨年から興味を持って取り組んでいるという制限のないメタバース空間や、「#MeToo」運動のひろがりから考える人種を越えた多様性を表現したといいます。

湾曲した特徴のあるウィンドウに展示された飯沼さんの作品。角や耳がある女性の木彫作品が、人々の目を引き付けます(展示場所:ルミネ新宿 ルミネ2 1F 東南口ショーウィンドウ)

飯沼英樹さん:メタバース空間は制限がないので何でもつくれるのが面白く、僕はファッションをデザインし、NFT化して売ったりもしています。メタバース空間では今まで注力してきた立体にすること、色を塗ることなど全部がデジタルですが、ファッションをうまく融合できる感じがしているんです。

今回作品の肌色をカラフルにしていて、これは『#MeToo』をはじめとするさまざまな社会の動きを見ていて、人種の枠を超えて、ピンクや黄色っぽい顔の人がいてもいいんじゃないかと人種を越えたようなイメージが湧いてきたんです。あとは人間以外の動物ってパッと見たときに雄雌の区別がわからないものが多いですが、そういうようなイメージで角や耳をつけました。

作品はそれぞれ目線や口の形など表情がちがい、それぞれが発したいメッセージを想像させます。

木目に沿ってカラーリングしたという作品も。

作品を設置した什器は、グラフィティやミューラルアート、壁画に刺激を受けているという飯沼さん。スプレーで感覚的に描いていくことは、制作する楽しさ、現代性、そして社会に反抗するイメージもあり、そういったことを許容できるような社会になっていってほしいという想いが込められています。

<nebula tama-SEE Nation> と <謎の本>/ハシグチリンタロウさん

LMAA2018-2019にてグランプリを受賞したハシグチリンタロウさん。今回の展示は、天井から吊られた大きな作品の「nebula tama-SEE Nation」と、段ボールを使って表現した「謎の本」という2つのインスタレーションで構成されています。

「nebula tama-SEE Nation」は、ハシグチさんがパチンコ屋の跡地で作品をつくっていた時期に、店内と店外でまったく別世界に感じた体験や、何千何発の玉が揺れ、それを見つめる人々の様子などから宇宙や魂に発想が展開し、制作されたインスタレーション。「謎の本」は、ハシグチさん自身がネットショッピングをする中で、便利さと同時に用意されている中から商品を選択させられている感覚や、便利さゆえに創造性の乏しさを感じたことから生まれたシリーズ。

段ボールの中にはハシグチさんの文字や絵が描かれた紙が1枚だけ入っていたり、立体作品が入っています。ウィンドウには、それぞれの作品についてのテキストが綴られています(展示場所:ルミネ新宿 ルミネ2 2F スタニングルアー横ショーウィンドウ)

ハシグチリンタロウさん:自分が住んでいる場所はすごく田舎で、買い物をするとなるとネットショッピングに頼るしかないんです。ネットはいろいろ買えるし便利なんだけど、たくさんある中から選んでいる、選ばされているという感じがあり、何かが抜け落ちているように思えるんですよね。いまって便利になりすぎて、何をしようにもサービスが先回りして準備されていて、ゼロから何かをつくるみたいな機会はなくなり、人間の創造性がやせていっているなと感じていて…。謎の本はそういうところから発想したシリーズです。

作品のストーリーとしては、ある日謎の紙切れ1枚が入った箱が届くようになり、それがどんどんいろんな場所で発見され、実は並べてみると1つの流れを持った書物なのではないか、それがバラバラになって1枚ずつ届いているのかもしれない、ということを表現しています。だから文字が描かれた箱をたくさん積み上げていて、中を見ると1枚の紙切れが入っていたりします。

箱のほとんどは実際にハシグチさんの自宅に届けられたものを使用しているそう。箱には文字や絵が描かれており、思わず何が表現されているのか見入ってしまいます。

LMAAや今回の展示についてハシグチさんにうかがうと、「はじめてコンペに出そうと思ったのがLMAAで、展示する機会もいただきました。その展示をきっかけに自分のことを知ってくれた方もいたし、そういう意味ではすごく貴重な機会でした。今回の作品は、ルミネに買い物をしにきたのにネットショッピングの箱が積み上げられていて困惑する方もいると思いますが、楽しんでいただけたらうれしいです」と、話してくださいました。

交点/尾花賢一さん

LMAA2014にて準グランプリを受賞した尾花賢一さん。作品制作をはじめる際は、展示される場所や状況を掘り下げることが、重要なモチベーションになっているといい、本作「交点」も、展示場所である新宿という街の特徴をウィンドウに表現しています。

現在の街と切符切りの様子など、今昔がまざった新宿が表現されている各コマ。観た人それぞれが自分の新宿に対するエピソードやシーンを思い出すような作品です(展示場所:ニュウマン新宿 2F NEWoMan ART wall.)

LMAA2014の際は彫刻作品を展示した尾花さんですが、今回はマンガ調の平面作品を展示。作品では、前回の展示でも登場した正体不明の覆面の男が新宿駅にやってきて、街を眺め、歩き、そしてまた旅立っていくというようなストーリーが感じられます。さまざまな目的で新宿を訪れる人たちがすれ違う、一瞬の出会いがひとつのウィンドウで表現されました。

漫画でよく見かけるような擬音語も、ウィンドウに多くちりばめられています。

I am Here@Red Hook Houses, September 25, 2019, 5:15pm/Harumi Oriさん

LMAA2016にてグランプリを受賞したHarumi Oriさんは、工事現場の囲いや雪よけなどとして使われている、工業用メッシュ素材を使った作品を展開しています。20年前から制作している「I am Here」シリーズは、作者が過去にその場所にいた一瞬の時間と空間を工業用メッシュ素材で表現するもの。同シリーズは、詩人・まどみちおさんの『ぼくがここに』という詩からインスパイアされて生み出されているそうです。

鮮やかなオレンジ色の工業用メッシュ素材が目に留まるOriさんの作品。過去の一瞬を切り取った、独特のノスタルジーも感じられます(展示場所:ルミネエスト新宿 1F 東口駅前広場沿いショーウィンドウ)

今回Oriさんが展示したのは、ブルックリンにある集合住宅の中での日常の風景を表現した作品。タイトルにあるように2019年9月25日夕方5時15分に撮影した写真から制作されており、人々が帰宅したり、学校帰りの子どもたちが歩いている様子がわかります。

実物を近くで見ると重ね着している服の様子やふわっとした袋など細かな表現であることがわかります。

Oriさんはニューヨーク在住のため、作品の設置はテレビ電話で中継しながらおこなわれたそう。

バードクライミング/池田はなえさん

LMAA2018-2019にて準グランプリを受賞した池田はなえさんは、事務職を経て2012年より鳥彫刻家に転身した経歴の持ち主。今回の作品は、「困難な状況でこそ“鳥の目”を持て(=物事全体を俯瞰的にとらえよ)」という考え方から発想を巡らせたもの。

存在感あふれる2羽のハシビロコウを中心に、ピンク色が鮮やかなショウジョウトキ、オウム、インコなどさまざまな鳥が表現されています(展示場所:ルミネ新宿 ルミネ2 2F サラベス横ショーウィンドウ)

ウィンドウの中ではハシビロコウをはじめ、オウムやインコなどさまざまな鳥が息づいています。作品がリアルすぎて実際に鳥と目が合っているように思え、自然の厳かさすら感じられました。

前作では座っている状態のハシビロコウを展示した池田さんですが、今回のように立った状態は制作が難しく、かなり苦労されたそう。

大小さまざまな鳥の爪や羽のひとつひとつが丁寧につくられており、長時間見入ってしまいます。

TIGER EYE/柿崎サラさん

LMAA2014でルミネ賞・オーディエンス賞を受賞した柿崎サラさんは、細かな模様のような独特のタッチで描かれたイラストが特徴です。今回は「TIGER EYE」と題し、2022年の干支である寅をテーマにした作品を展示。空や山の稜線と一体化した寅がじっと見つめてくる印象的な作品になっています。

景色と一体化した複数の寅が、来場者をじっと見つめてくる印象的な作品(展示場所:ニュウマン横浜 1F メゾンカカオ横 ショーウィンドウ)

今回唯一ニュウマン横浜での展示となった柿崎さんの作品。華やかな店舗が多い中でも負けない力強さを持っています。

アートで感性を刺激し、ライフスタイルが豊かになるきっかけづくりを

最後に、LMAAを担当する株式会社ルミネの柳沢愛さんより、10周年の振り返りと来場者に向けたメッセージをいただきました。

「アートのある毎日を。」というテーマで「LUMINE meets ART PROJECT」がスタートし、その中の取り組みのひとつであるLMAAが丸10年目を迎えました。今でこそ珍しくありませんが、10年前は商業施設がアーティストとコラボレーションするということはあまりなかったように思います。LMAAはありがたいことに毎年400名以上の方が応募してくださる公募展になり、近年開始した最終審査でのプレゼンテーションでも、アーティストのみなさんの熱い想いをひしひしと感じます。

本展では、コロナを経たアーティストそれぞれが受賞した当時とはまたちがった気持ちや考え方でつくった作品を体感していただきたいですし、日常の中で目に留まる、アーティストとの思いがけない出合いを楽しんでもらいたいですね。

コロナ禍でお客さまのライフスタイルにも大きく変化があり、ご自宅でアートやお花を飾ったりとおうち時間を豊かにしたいという方が増えているように思いますが、ルミネにお越しくださるみなさまが館内のアートに触れることで感性を刺激され、ライフスタイルが豊かになるきっかけづくりができればと考えています。今回は展示のみですが、不定期でアーティストさんを招いたワークショップやライブペインティングも行っているので、ぜひそういった取り組みにも興味を持っていただけたらうれしいです。

■​「LUMINE meets ART AWARD アーカイブ・エキシビション」開催概要 ​
会期:2022年5月26日~6月15日
場所:ルミネ新宿・ルミネエスト新宿・ニュウマン新宿・ニュウマン横浜 各ショーウィンドウ
LUMINE meets ART AWARDサイト
http://www.lumine.ne.jp/lmap/award/20220420/exhibition-2022/
LUMINE meets ART PROJECTサイト
http://www.lumine.ne.jp/lmap/

なお、ルミネのアプリ「ONE LUMINE」では、プレゼントキャンペーンを実施しています。展示の感想を書いて応募すると、おうち時間を彩るアイテムやアーティストの尾花賢一さんのオリジナルブローチが抽選で当たります。また、ルミネ新宿 ルミネ2の「rooms SHOP」では参加アーティストの作品を展示販売中ですので、こちらもぜひご注目ください!

取材・編集・文:石田織座(JDN)

Comments (0)
Top