蜜や

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飛騨の森でクマは踊る, 矢萩智, SYA, kamikami,建築

さまざまな板が空を浮遊しているように並ぶ、岐阜県の堀養蜂園が運営する蜂蜜カフェ「蜜や」。

森林が多く存在し、木材産業が盛んな岐阜県に誕生したこちらの空間は、SYA+kamikamiの矢萩智さんが設計を手がけました。空間のコンセプトや特徴などについて、矢萩さんにコメントをいただきました。

■背景

森林面積は全国5位の86万2,000ヘクタール、県土面積の81%を占めるという、全国有数の森林県である岐阜県。林業など木材の産業が古くから盛んで、森林と共に暮らしてきた歴史から、木工技術や伝統工芸を展示する施設が数多く存在します。特に飛騨地方では樹種が多様で、日常的に多様な樹種を使いこなす技術が現在まで受け継がれ、伝統工芸品である飛騨春慶や一位一刀彫をはじめとした、優れた木工技術が多く見られます。

本計画は、北部の飛騨地方で森の可能性と価値を追求する企業「飛騨の森でクマは踊る」と、南部の東濃地方で単花蜜を中心に生産する「堀養蜂園」が、広葉樹を用いた空間づくりを企画したことからスタートしました。私たちは、多様な樹種がある森と蜂が飛び回る養蜂の風景に喚起され、計画を進めていきました。

■コンセプト

「蜜や」は、岐阜県の東濃地方を拠点とする養蜂園の蜂蜜カフェです。ミツバチが訪花する単蜜花の樹種の板を天井に浮かべることで、蜂が飛ぶ採蜜の風景を感じられる空間を計画しました。カフェと採蜜室をエントランスから一直線に配置し、カフェと採蜜室がシームレスにつながることで、採蜜の現場を見学可能な構成にしています。既存の車庫を採蜜室とし、既存の壁を取り除き、新しい窓を挿入。ガラスに木板が映り込むことで、虚が連続して拡張するように高さを調整しています。

蜜や店内画像

蜜や店内画像

天井と壁面棚の板は、1mと2mの長さのヤマザクラ、ウワミズザクラ、ニセアカシア、ブナの耳突き板と製材された板、そしてMDFを使用しています。それらの板を均一に並べるのではなく、ずらしたり高さを変えたりして、4列を基本ユニットとして、天井に覆い尽くしていきました。

耳付き板は、曲がり方に違いがあったものの、森の不ぞろいさをイメージさせます。それらを飛騨の工房で1枚1枚並べ、配置を検討。壁面棚には、部分的に板の裏に照明を設けて、商品がハイライトされるよう計画しました。広葉樹の探求を通して、森の恵みである蜂蜜と木を享受できる暖かい空間を目指しました。

蜜や店内画像

天井に配置された板

蜜や店内画像

壁面棚

蜜や店内画像

照明によって照らされた商品

■課題となった点、手法、特徴

蜂蜜カフェのために製作した2種類のスツールは、無垢な丸太と合理的に製材されたMDFの対比になっています。これは、天井や壁面の板に混在しているものと同様で、この対比によって人工物と自然の事象を際立たせ、空間の質を高めるものとしました。人工物と自然は互いに交わることなく、それぞれ自立したものとしてこの空間では存在しています。

蜜や店内画像

無垢な丸太とMDFで製作されたスツール

私たちが生活する環境、自然と人工物との対比、窓に映る数々の板が生産の場へと連続することで、風景が広がり続けていることを示唆しています。自然と空間が地続きになることで、養蜂と空間の創造性がつながり、情景を生み出すように思いを込めて、この蜂蜜カフェを計画しました。

蜜や外観画像

所在地 岐阜県瑞浪市穂並1-58
設計 SYA+kamikami
施工 板垣建設
構造 鉄骨造
延床面積 120m2
竣工日 2020年8月
撮影 長谷川健太
SYA
堀養蜂園
飛騨の森でクマは踊る
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